さて、面白いことに、日本においては、コアなサッカーファンとコアな野球ファンの仲は必ずしも良くない。

サッカーファンに言わせれば、「野球は運動量も少ないし、国際的じゃない。動きも単線的、平板で、おじさん向け」ということになる。

一方、野球ファンに言わせれば、「サッカーはとにかく点が入らなすぎる。逆転ホームランのようなシーンもなくて退屈だ。記録を楽しむという要素もないし」ということになる。

点が入りにくいことがスポーツの面白さを削ぐかどうかについては議論は分かれよう。
事実、点が入るスポーツの代表であるバスケットボールファンの中にも、点の入りすぎるアメリカのプロバスケ(NBA)より、1点の価値が重いカレッジバスケを好むというファンは少なくない。
「滅多に点が入らないからこそ、点が入った時の感激が大きい」というのはサッカーファンもよく言うところである。

 それに対して、「記録について議論したりして楽しむ余地がない」という点については、サッカーファンは旗色が悪い。
野球に限らず、アメリカンフットボール、バスケットボールなど、個人やチームのパフォーマンスがかなり細かく数値化され、それを楽しむファンも多いアメリカ型のスポーツに比べると、
サッカーやラグビーといったイギリス型スポーツは、KPIの数が必ずしも多くないという特徴がある。

 もちろん、サッカーでも、シーズン終盤になると「最多得点」は誰か、ということが一応話題になりはする。
しかし、野球で「首位打者は誰だ」「55本塁打の壁は越えられるか」「20勝投手は出るか」と盛り上がるのに比べれば、数字の占める位置づけは圧倒的に小さい。

 これはファンにとっての楽しみというだけではない。監督の采配でも同様だ。
野球であれば、「このバッターは対左投手の打率が4割だからここで代打に出そう」といった、数字を基にした意思決定が下しやすい。

 一方、サッカーでは、それに相当するような細かいKPIはかなり少ないと言っていいだろう。
特にディフェンス陣に関する数字は少なく、「このディフェンダーのこのシチュエーションにおける成績はこうだから、この選手を出そう」といった、数字をベースにした意思決定はかなり少ないのが現状と言えそうだ。

https://diamond.jp/articles/-/18686?_gl=1*54bxqp*_ga*YW1wLUdERTBBVGctWkZqT29ScXBNQ2FReGpnbzNLTExlSTFMOUZydXBEX0IwaFRObC1kdXc3dGhYMWpXNU5NY0VxLWk.*_ga_4ZRR68SQNH*MTcwNzE2NzM4MS40LjEuMTcwNzE2NzM4MS4wLjAuMA..