戸は閉まらず屋根も壊れた家に独り…被災しても自宅離れない高齢者への支援、どうしたら

 能登半島地震の発生から1カ月がたち、被災地で自宅に残ろうとする高齢者や障害者をどう支えるかが課題になっている。遠隔地への2次避難が進む中、これまで見守ってきた地域住民らが減っていくからだ。
専門家は、今回のような大規模災害を想定し、高齢者らの生活再建を個別に支援する仕組みの必要性を訴える。

 無数の家屋が倒壊し、人影の見えない区画も目立つ石川県珠洲(すず)市宝立(ほうりゅう)町。1月下旬、倒壊の恐れを示す「危険」の赤い紙が貼られた古い木造住宅から住人の女性(73)が出てきた。地震で玄関戸は閉まりきらず、鍵も掛けられない。屋根も壊れ、屋内は雨水でぬれていた。
 一帯は全壊した住宅のがれきが道路をふさぐなど甚大な被害に見舞われ、ほとんどの人が自宅を離れて避難生活を送る。近隣住民らによると、女性宅も被災したことから、知人らが避難所や2次避難先に移るよう勧めるが、女性は「避難所は人がいっぱいで入れない」などと拒み続けている。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/307539