“必要な透析治療を実施しなかったことで、入院患者の男性が死亡した”として、遺族が入院先の病院の運営法人に対し、約5000万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴しました。

2月5日付けで訴えを起こしたのは、去年1月に当時の「医誠会病院」(大阪市東淀川区)で亡くなった男性(当時90)の遺族です。

訴状によりますと、男性は腎不全のため、「医療法人医誠会」が運営する大阪府内のクリニックで週3回、透析治療を受けていました。

しかし去年1月、クリニック内で多くの発熱者が発生。男性も新型コロナウイルスの検査を受けたところ、陽性と判定されたため、クリニックは医誠会病院に転院させました。

しかし男性は、医誠会病院でベクルリー(新型コロナの抗ウイルス薬)は投与されたものの、透析治療は一切実施されませんでした。男性は転院から数日後に、窒息による低酸素脳症で死亡しました。
男性の遺族は、「▽病院がクリニックに対し透析治療が可能である旨を返答し、▽クリニック側も男性の診療情報や透析記録を引き継いだにもかかわらず、透析治療が行われなかった。その結果、肺に水がたまり窒息が起き、低酸素脳症で死亡した」と主張。

2月5日、医療法人「医誠会」に対し約5000万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴しました。

遺族の代理人弁護士によりますと、示談交渉(決裂)の際に「医誠会」側は、透析治療の実施を怠った注意義務違反は認める趣旨の回答をしたものの、そのことと男性の死亡との因果関係については、男性の新型コロナ感染と高齢を理由に、明確に争う姿勢を示したということです。

死亡した男性の長女は提訴にあたり、「なぜ病院側は透析治療を行なわなかったのか、理由、真実を知りたい」とコメント。

一方、「医誠会」側は「訴状がまだ届いていないため、コメントできない」としています。

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