私が気候変動について話すと質疑応答では必ずといっていいほど「なぜ人口過剰の話をしないのですか」と聞かれる。私たちが抱えるすべての問題の原因は、一言でまとめられると質問者たちは信じて疑わない──そう、人口過剰だ。

人間は増え続け、人口密度のグラフは急激な増加曲線を描き、悲劇的な結末が私たちを待ち受けている。まるで時限爆弾のように、いつか爆発する……。彼らはそう信じているのだ。

しかし、人口過剰の問題など存在しない。それどころか近い将来、私たちは急激な出生率低下による深刻な人口減少に悩むことになるだろう。これは人間だけでなく地球全体にとっても悪いニュースだ。人間が多ければ多いほど使える資源は増え、自然への悪影響も少なくなるのだから。

そう、人間が多ければ多いほど資源は増える。決して書き誤りではない。実例をひとつ挙げよう。世界的な人口増加は1960年代にピークを迎えた。当時の女性は平均4.5人の子どもを出産していたが、それ以来、出生率は低下の一途をたどっている。

(中略)

日本は、これから他国で何が起きるのかを私たちに教えてくれている。そう遠くない昔、日本は経済大国かつイノベーターとして世界に名を馳せていた。しかしいま、日本経済は停滞し、イノベーションや経済成長を他国に任せている状況だ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/47b92ef9221678064a6f8dc4348cec581a8c72d7