国宝「金印」が出土した島
 このまばゆい輝きは、はるか2千年も昔から変わらない。弥生時代、九州のとある王さまが海外から手に入れたという国宝金印。それが放つ神秘と来歴の謎にいざなわれ、出土の地、志賀島(しかのしま、福岡市東区)をたどる旅に出た。

 一辺2・34センチ四方、10円玉サイズの小さな金の塊。「漢委奴国王」の5文字が刻まれ、つまみは蛇をかたどる。教科書でもおなじみの国宝がこの世に現れたのは天明4(1784)年。福岡藩に届けられた口上書によると、お百姓の甚兵衛さんが水田の溝を修理していると石があり、それを取り除いたらキラリと光ったという。

一体、これはなんだ? 正体を喝破したのが儒学者、亀井南冥(なんめい)だ。博識を駆使し、中国の史書「後漢書」が紀元57年のこととして記す、日本からの使いに後漢の光武帝が贈った金印だと断じたのである。

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