昨年1月に大阪湾に迷い込んだクジラの死骸処理費が大阪市の試算の2倍以上に膨らんだ問題で、市大阪港湾局の契約担当課長が読売新聞の取材に対し、市の試算額を積算根拠なく8000万円に引き上げるよう同局長に進言したと認めた。委託業者の要求に近い金額で、結果的に増額された。市は適正な費用を設定するよう求めた市契約規則などに抵触する恐れがあるとして、「契約は適正だった」との姿勢から一転、経緯の調査に乗り出す。

「淀ちゃん」と呼ばれたクジラは昨年1月13日、淀川河口付近で死んでいるのが確認された。同局は市内の海運会社に死骸の海洋投棄を依頼。費用は市の基準に基づき協議して決めることで同社と合意し、死骸は6日後に紀伊水道沖に沈められた。

 同局は昨年3月初め、費用を3774万円と試算したが、同社が提示した8625万円とは2倍以上の開きがあり、交渉が難航した。

 読売新聞は、同局の契約を担当する経営改革課長が昨年3月3、15、25日に丸山順也局長らに送った3通のメールを入手した。交渉は本来、海務課の役割だったが、経営改革課長はメールで、自らが同社と調整すると説明し、総額で同社と合意した上で、積算根拠は後から検討する方法を提案。総額は「8000万円にすべきだ」と主張した。

 試算額は同月30日、課長の主張に沿った金額の8063万円に引き上げられ、翌31日、それに近い8019万円で同社との随意契約が結ばれた。

 課長は読売新聞の取材に対し、「(年度末の)3月中に契約できなければ、面倒な手続きになると考えた。早期に決着させるため、先に総額を決める手もあると思っていた。(メールの文面は)望ましくない表現だった」と述べた。

 クジラの処理費を巡り、横山英幸市長は読売新聞が報じた後の1月4日、「(契約手続きは)違法性はなく、適正だった」と述べ、調査には否定的だった。しかし、市契約管財局は、読売新聞の指摘でメールの内容を把握したことなどを受け、「試算額が適正に見積もられたのかを調べる必要がある」と判断。同社の担当者は元市職員で課長と親しいといい、同局はこうした事情も含めて調べるとみられる。
後はソースで
https://news.yahoo.co.jp/articles/cdbda6b54ed040ee46c9e90eac62620bf2ceaf58