東北電力は19日、女川原子力発電所(宮城県女川町、石巻市)2号機を9月頃に再稼働すると発表した。火災対策工事の遅れから再稼働を延期していたが、全ての工事が6月に完了する見通しが立ったため。再稼働すれば、2011年の東日本大震災の被災地にある原発で初めてとなる。

 東北電は当初、今年2月の再稼働を目指していたが、その後2回延期した。原子炉建屋内などの電気ケーブルが火災で損傷しないようにする断熱工事で想定よりも作業量が増えたためで、東北電は作業量を精査した結果から「工事がこれ以上遅れることはない」と説明している。

 金沢定男・原子力本部長は19日の記者会見で、「工事は最終盤を迎えている。引き続き安全確保を最優先に工事に取り組むとともに、地域の理解を得ながら再稼働を目指す」と述べた。

 東北電によると、2号機が再稼働すれば、電源構成の半分超を液化天然ガス(LNG)や石炭火力に頼る状況を緩和でき、電力需要に対する供給余力(予備率)も向上して安定供給を下支えできるという。

 燃料費削減効果は月100億円で、原発が停止する定期検査期間などを考慮しても年間800億円の効果が見込めるため、将来的に電気料金を下げられる可能性もある。

 女川原発2号機は20年2月、原子力規制委員会の安全審査に合格。同11月には宮城県の村井嘉浩知事が再稼働の同意を表明した。2号機は事故が起きた東京電力福島第一原発と同型の沸騰水型軽水炉(BWR)で、BWRでは中国電力島根原発2号機(松江市)が8月の再稼働を予定している。

https://news.yahoo.co.jp/articles/0dbfcb987ec9ee026c51f9d7146307fe0fd65b77