ヨーカドー、大量撤退で「さんざん地元商店をぶち壊して、利益が上がらなければ撤退するのは無責任だ」との批判なぜ起きた? そしてこの批判の“誤解”とは?

セブン&アイ・ホールディングス(HD)傘下のイトーヨーカ堂が、北海道・東北・信越地方の17店を閉店すると報じられた。
同エリアからの撤退により、ヨーカドー空白地帯が拡大することになる。中四国、九州、沖縄にはすでにヨーカドーはない。
筆者はこれまで2回、このニュースを受けて、ヨーカドーの歴史や、実際の現地のフィールドワークを通して見えてきたそのリアルな姿について書いてきた。
今回は、そのシリーズのラストとして、今回のヨーカドー撤退に伴って巻き起こった「ヨーカドーは無責任」という言説について、検討してみたい。

■商店街を潰したヨーカドーが撤退するのは無責任? 
ヨーカドーが撤退するというニュースを受けて、各所から聞こえた声の一つが「無責任」という声だった。いろいろな人の投稿の要点をまとめると、こんな感じだ。
「ヨーカドーは出店する際にさんざん地元商店をぶち壊した。にもかかわらず、利益が上がらなければ撤退するとは無責任だ、けしからん」
このとき言われる「地元商店」とは往々にして「商店街」のことが念頭に置かれている場合が多く、
こうした言説は、たしかに私たちの頭にすんなりと入ってくるものである。「スーパーvs商店街」とでもいおうか。
こうした構図は、なぜか私たちの頭の中に小売りをめぐる「型」としてインストールされている。
「ありきたりな決まり文句」を「クリシェ」というが、まさにこうした言説は小売りをめぐるクリシェである。
今回、ヨーカドーが撤退するというニュースを受けて、私たちの中にあるそのクリシェが顔を出した、というわけだ。
しかし、この「スーパーが商店街を潰した」という構図、実はかなりイメージ先行のものであることを指摘しなければならない。
まず、最初に断っておかなければならないのは、もちろん、日本全国でみれば、
ヨーカドー等のGMSが出店したことによって存続が厳しくなった中小小売店が存在することも確かだ、ということ。
それはもちろん認識したうえで、このクリシェに隠された「ウソ」を見ていきたい。

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