日本のTAC制度はオリンピック制度ですらありません

オリンピック制度は漁獲枠を巡る競争である。
一方、日本の漁業者は、実質的な漁獲枠が無い中で、魚を奪い合っている。
オリンピック制度と日本のTAC制度の間には、スポーツと戦争ぐらいの差がある。
日本のTAC制度をオリンピック方式と呼んだら、まじめにオリンピック方式を実施してきた国に失礼だ。
https://katukawa.com/?p=678
https://i.imgur.com/h7SV9P9.png


一方ノルウェーでは、漁獲枠が、実際に漁獲できる量よりも大幅に少なく、
かつ漁船ごとに枠が配分されています(IVQ 漁船別・個別割当制度)。
このため各漁船は小さなサバを避けて大きなサバだけを獲るようにしています。
その結果サバ以外も含め、海には成魚(産卵親魚)の数が多くなっているのです。
日本とノルウェーのTACの違いは、食用比率にも表れます。
食用にならない幼魚まで獲ってしまう日本のサバの食用比率は、
約6割(2019年)で、後者は、ほぼ99%(毎年)です。また日本の場合は、
国内で食用に向かないサバが大量に(2021年 約18万d・水揚げの4割)輸出されています。
それらを日本国内での食用に向かないサバとカウントすると、
実質的な食用比率は6割より、かなり下がることになります。
https://suisanshigen.com/2019/12/11/article9/
https://imgur.com/a/W8rGtKT