対ロ貿易、過去最高に 西側との関係悪化警戒―中国
2024年02月23日07時18分配信

 【北京時事】中国とロシアが経済的なつながりを深めている。2023年の貿易総額は前年比26.3%増の2401億ドル(約36兆円)と過去最高を更新。両国は人的交流も拡大させる方針だ。ただ、中国は西側諸国とのさらなる関係悪化を避けるため、「対ロ一辺倒」と受け取られないよう警戒している。

 ◇ロシア原油買い増し
 ウクライナ危機直前の21年に1469億ドルだった中国の対ロ貿易総額は、22年には1903億ドルと、前年比29.3%増加した。コロナ禍の影響をならした21年までの2年間の年平均増加率は15.2%で、侵攻後の急増ぶりが際立つ。

 背景にあるのは中国によるロシア産原油の買い増しだ。ロシア産は西側の対ロ経済制裁の影響で割安になっており、中国は購入を増やした。日米欧の自動車メーカーがロシアから撤退した隙間(かんげき)を縫い、中国企業はロシア市場の開拓を加速。中国の23年の対ロ新車輸出台数は前年の6倍近くに急増した。

 ◇関係拡大、習氏も意欲
 今月上旬には中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領が電話で会談。中国外務省によると、習氏は「両国関係は新たな発展の機会を迎えている」と強調した。西側を中心に「ロシアの戦費調達を支えている」と中ロの貿易拡大に批判の声も上がる中、さらなる関係強化に意欲を示した形だ。
 1月末に開かれた国防相会談では、軍事関係を「より高いレベル」に引き上げることも確認。防衛問題の専門家は、米国との対立で「中ロは共通認識を持っている」と指摘する。中国メディアによると、最近は訪中するロシア人観光客も増えているという。

 ◇独自のバランス外交
 もっとも、中国ではロシアと「一定の距離」を保つべきだとの意見も根強い。王毅共産党政治局員兼外相は今月、ウクライナ外相と会談し、「紛争地域や当事者に殺傷力のある武器を売らない」と明言。対ロ軍事支援には踏み込まない方針をアピールした。

 22年春には清華大の研究者が、ウクライナ危機以降、サプライチェーン(供給網)の混乱や米国による台湾支援の動きが強まったと分析する論文を公表。「紛争は中国にとって良いことではない」と強調し、中国には「バランスの取れた戦略が必要だ」と結論付けた。

 東南アジアの外交筋は中国の対ロ外交について「一定の制約下で発展させてきた」と分析。ロシアとの連携を重視しながらも、西側との関係維持や将来のウクライナ復興事業への参入をにらみ、独自の「バランス外交」を続けるとの見方を示している。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2024022200730&g=int