秋山仁は上智大学で修論落とされて留年したぞ
吉永良正「秋山仁の落ちこぼれは天才だ」より

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修士二年目の後半は、六か月かけて修士論文に打ち込んだ。
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『アスコリ=アルツェラの定理の一拡張について』と題した数ページのも短い論文をやっとの思いで完成した。
それをもって秋山は教授(南雲道夫)の研究室に挑んでいく。
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「先生、ご指導ありがとうございました。おかげさまで、やっと修論を完成しました」
と、お礼の言葉を述べて、「血と涙と汗の結晶」である修士論文を教授に差し出した。
教授はこの論文を秋山の目の前で一読するや、言下にこう言った・
「こんなもんねえ、きみ。とても論文とは言えないよ。新しいことが何も入っていないじゃないか」
教授はそういうなり、秋山の論文をごみ箱に直行させた。
秋山にとって、「生涯のうちでいちばんショックだった」思い出である。