中国のクオンツ締め付け、市場に持続的ダメージも-投資家さらに敬遠

かつて活況のクオンツ業界、株安食い止める措置の新たな犠牲者に

「最も百戦錬磨の投資家でも」中国がリスクに見合うか疑問抱く公算

 先月から雲行きが怪しくなっていた中国のヘッジファンドは、市場の混乱から逃れるために春節(旧正月)休暇を心待ちにしていた。ある運用担当者は証券会社から空売り注文を突然拒否され、株式市場から完全に締め出される者もいた。また、規制当局の関係者が複数のファンドの取引フロアに現れ、売買を直接監視した。

  あるファンドは3日連続の混乱した取引を振り返り、「われわれにとっては1年間のように感じられた」と話す。

  中国共産党の影響下で長く運営されてきた市場の基準から見ても異例だったこうした光景は、この数週間、コンピューター主導のクオンツ取引のルールを書き換える締め付けの中で生まれた。かつて活況を呈していた中国のクオンツ業界は、4兆ドル(約600兆円)相当の株安を食い止めようとする中国当局の取り組みの新たな犠牲者となった。

  今回の措置は少なくとも一時的には株価の押し上げに役立った。だが、習近平指導部が近年、ウォール街の企業から巨額の資金を呼び込んできた自由な市場の体裁維持を犠牲にしてまで、短期的な目標の達成にどこまで踏み込むのかという、より大きな疑問を投げかけている。

  中国への警戒感を強めている海外投資家にとっては、突然の取引制限で中国を敬遠する理由が一つ増えたことになる。

ダルマ・キャピタル・マネジメントのゲーリー・ドゥーガン最高投資責任者(CIO)は、「当局による今回のパニックとも思える行動によって、中国が世界の資本プールにアクセスできるよう、過去20年間に行われてきた全ての取り組みを損ねる恐れがある」と指摘。一連の動きで「最も百戦錬磨の投資家でも」中国がリスクに見合うかどうか疑問を抱くだろうと述べた。

  新たな制限は広範囲に及ぶ。コンピューターアルゴリズムに基づき取引を行うクオンツファンドは精査されることになり、新たな参加者は取引前に戦略を規制当局に報告しなければならない。当局は、中国本土と香港の株式相互取引(ストックコネクト)経由のオフショア投資家についても報告範囲に含める方針だ。

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https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-02-26/S9FS0HT0G1KW00