EV車の保険料が高騰…どうして? 新エネルギー車が普及する中国 ドライバー負担に直結する「特有の事情」
2024年3月6日 17時00分

 新エネルギー車の普及が急速に進む中国で、新エネ車専用の自動車保険を巡って、更新時に大幅な値上げを要求されたり、更新を断られたりするケースが相次いでいる。背景には修理費が高騰する新エネ車特有の事情や、広がるライドシェアが関係している。(北京・石井宏樹)

 中国では2021年末に新エネ車専用の自動車保険が発売された。昨年、電気自動車(EV)を購入した男性は年間で5900元(約12万円)の保険料を支払ったが「同クラスのガソリン車と比べて1000元(2万円)以上、割高だ」と話す。
 更新時の大幅値上げも行われており、中国メディアでは、昨年は約7000元だった保険料が今年の更新で4割以上高くなった事例が紹介された。

 中国の保険会社の担当者は「保険金を実際に支払う割合が新エネ車の方が明らかに高く、市場の状況が価格に跳ね返っている」と理由を説明する。直近の2年間で新エネ車に対して保険金を支払った割合は35%で、ガソリン車の20%以下を大きく上回る。

 担当者は「エンジンは修理できるが、電池や電子制御部品は壊れると交換しかできず、高騰の原因となっている」と明かす。中国ではEVメーカーが乱立して新製品を競って発表しているため、修理状況の把握が追いついていない事情もあるという。

 一般ドライバーが有償で客を運ぶライドシェアの普及も高騰に拍車をかける。

 世界的にガソリン代が高騰する中、長距離を運転するライドシェアの運転手の8割は新エネ車を使っていると推計される。

 多くの保険会社は自家用車向け保険をライドシェアに適用することを認めていない。中国メディアによると、走行距離が2万キロを超えると、ライドシェアの車両と疑われて高額な別の保険購入を求められたり、更新を断られたりするケースが出ているという。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/313207