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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN08EDV0Y4A300C2000000/
ノボノルディスク、時価総額テスラ抜く 肥満症薬に期待
米食品医薬品局(FDA)は8日、デンマーク製薬大手ノボノルディスクの肥満症薬「ウゴービ」について、心血管疾患の治療薬としても利用を認めた。同社の株価は年初から約30%上昇し、時価総額で電気自動車(EV)大手テスラを抜いた。同じく肥満症薬を持つ米イーライ・リリーも時価総額が膨らんでおり、市場の評価が肥満症治療薬に集まる傾向が鮮明だ。
QUICK・ファクトセットによると、ノボノルディスクの時価総額は足元で6000億ドル(約87兆円)前後で推移しており、約5700億ドルのテスラを抜き世界12番目に浮上した。イーライ・リリーの時価総額も約7000億ドルとテスラを超えている。
株価上昇のきっかけはFDAの判断だ。ノボノルディスクは肥満でかつ心臓病を持つ、糖尿病患者ではない約1万7500人を対象に5年間、臨床試験(治験)を実施した。週1回のウゴービの注射で心臓発作や脳卒中、心血管系の病気による死亡リスクを2割減少できたほか、非致死性の心臓発作のリスクも28%減少した。これを受けFDAはウゴービを肥満症薬としてだけでなく、心血管疾患の治療薬としても承認した。
ウゴービは価格が高いほか保険会社が肥満を慢性疾患とみなさない傾向にあることが幅広い保険適用の妨げとなっていた。今回、心臓病にも利用が広がれば保険適用されやすくなるとの見方が多い。
肥満症薬はまだ利用拡大の余地が大きいとみられている。世界保健機関(WHO)によれば、世界の肥満人口は18歳以上で2022年に1990年から倍増し8億9000万人まで増えた。世界の人口の16%が肥満だという。