大阪市が2018~24年度に、公園の樹木や街路樹計約1万9000本を伐採する事業を進めている。市は「市民の安心安全に影響する木を撤去している」というが、市民や専門家は「切る必要のない木も切っている」「樹木の維持管理コストを削減する狙いがあるのでは」といぶかる。現地を訪ね、真相を探った。

◆樹木医の鑑定では「非常に良好」なのに
 大阪・梅田から東へ1キロ。56本を伐採する予定の扇町公園(北区)を訪れた。伐採対象の木には予告文が張られている。そのうちの1本、小高い丘の上に立つケヤキは「健全度の低下」や「根上がり等により施設を損壊するおそれ」を理由に伐採すると書いてあった。

 「根上がり」は、成長した根が地表に露出することを言う。確かに根は見えるが、近くの歩道などを壊している様子はない。枝ぶりは見事で、切らなければいけないほど衰弱しているようにも見えない。実際、伐採に反対する住民らが依頼した樹木医の鑑定では「活力・樹形とも非常に良好」と評価されていた。
 見直しを求めている甲南大の谷口るり子教授(教育工学)は「なぜ切られないといけないのか、納得のいく説明がないまま伐採の対象になっている木がたくさんある」と指摘する。
 市は「公園樹・街路樹の安全対策事業」で、街路樹は1万2000本、公園樹は7000本伐採する。総事業費約55億円。市緑化課は「木の健全度に加え、管理上の課題も検討して伐採する木を総合的に判断している」と説明する。管理上の課題とは根上がりで歩道などの施設を壊していたり、枝葉が伸びて隣接の民有地に越境したり、道路標識を遮ったりしていること。ヒマラヤスギは根が浅く倒れやすいとの理由で全て伐採する。
◆「伐採ありきでは?」伐採理由が頻繁に変わる
◆「経費の節減」って言ってましたが「コストカットが目的ではない」と否定

https://www.tokyo-np.co.jp/article/314224