労組「全徳島新聞労働組合」(全徳島労組)によると、経営側は2023年11月に別会社「株式会社徳島新聞社」を設立登記。
経営側は11月中旬に開かれた事前協議の場で、24年4月に編集部門を分社化し、今後は現在の社団での新規採用を行わない方針を示した。
現時点で在籍する職員の待遇は変わらないとしたが、25年春以降に採用する職員の給与水準は現在の65%程度にすることも明らかにした。
総務部門についても別会社化する構想があり、「株式会社徳島新聞ビジネス」という新会社を設立する方向で動いているという。
一方、この計画に若手有志が反発。「同じ仕事をするのに後輩だけ給料が低いのは納得できない」などと、総務局長に意見書を提出した。
全徳島労組もストライキ権をもって上でこれまで3回の団体交渉に臨んだが、経営側は「給与水準を65%から75%にする」と言うにとどめ、計画の撤回には応じなかった。
3月11日に開かれた3回目の団交では、経営側は「これ以上やっても平行線」と一方的に話を打ち切り、引き止めようとする声に反応することなく退席したという。
◆「逆に採用難や離職につながる」
3月13日に会見した全徳島労組の阿部司委員長は、経営側が分社化などの計画の理由を「地域報道の持続可能性のため」「徳島をニュース砂漠にしないため」と説明した経緯について触れ、「逆に若手の離職や採用難につながる。若手が会社の未来を考えて声を上げている現状を重く受け止めてほしい」と述べた。
ストライキについても、「経営的に分社化を考えている新聞社が全国にあるかもしれない。我々が分社化を安易に受け入れてしまうと、日本のメディア全体を揺るがす問題になりかねない」と説明した。
会見に出席した日本新聞労働組合連合(新聞労連)の石川昌義・中央執行委員長は、今年の春闘では組合要求を上回るベースアップを回答したり、若手のベースアップに目を向けたりするメディアも多かったと語り、「産業として生き残るためには人に投資すべきだが、その時代の流れと逆行している。次世代を搾取しないでほしい」と指摘した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/52a3d547b7d0b4696e482cb670263045d001dcfe