『ソクラテスの思い出』は、クセノポンによって、ソクラテスの死後に回想的に書かれた、生前のソクラテスの言行録である。

第11章では、ソクラテスが、絶世の美女と評判で画家たちのモデルも引き受けている高級娼婦(援助交際婦・妾、ヘタイラ)のテオドテに対して、「ウサギを罠に追い込む猟犬のように、金持ちの人間たちを探して自分へと誘導してくる人物を1人得ること」「表情・仕草に現れるほどに、魂から真心を込めて相手(愛人)に対して愛情を示すこと」「満腹・空腹と食事の関係と同じように、相手(愛人)が自分を欲しくなるのを待ち、さらに上品な交際の要求と渋りじらしによって、自分の価値を最大限に高めること」などを、助言したエピソードが述べられる。