寒暖差によるストレスや疲労が頭髪にも影響することをご存じでしょうか。特に季節の変わり目は抜け毛が増えやすく、春の訪れとともに「抜けるなあ」と実感する人は多いのではないでしょうか。
ではなぜ寒暖差が影響するのでしょうか。鍵は自律神経のバランスにあります。
自律神経にはアクセルの役割を担う交感神経と、ブレーキ役となる副交感神経の2種類があります。両者がバランスをとり、全身の血管や各臓器の働きを活性化したり、また、ときには活動を落ち着かせたりしています。
普段は均衡を保ちながら徐々に切り替わるようになっていますが、寒暖差が大きくなると、自律神経のバランスが急激に変化します。急変は体へのストレスや疲労につながり、さまざまな体調の不具合が生じます。これを寒暖差疲労といいます。前日との気温差が7度以上になったときに、体調が乱れやすくなるともいわれています。
また近年増加しつつあるのが、1日のうちに起こる急激な気温変動による疲れや不調です。朝昼晩の温度差が大きいと同じように交感神経と副交感神経のバランスが乱れてしまいます。
特に頭皮に影響するのが、急激な空気の冷え込みです。冷えから身を守るために交感神経が過剰に活発になると、頭皮の血管が収縮して頭髪への栄養不足を引き起こします。さらに頭皮自体が冷えることで、ますます血流が行き届かなくなります。
加えて、春の抜け毛には、その手前の冬場に受けた頭皮へのダメージも影響しています。冬は頭皮が乾燥して、かゆみが起こったり、フケが生じたりすることがあります。すると、その数週間から2~3カ月後、抜け毛が増加してしまう場合もあります。
自律神経のバランスを整えるには、入浴、ストレッチ、アロマなどによるリラックス効果を利用して、副交感神経をゆっくり活性化しましょう。
質の良い十分な睡眠をとることもおすすめです。寝る直前までの飲酒やスマートフォンの使用は控えましょう。また、頭皮の保湿、紫外線対策やマッサージによって頭皮環境を整えるように心掛けてください。一つ一つは地道なことですが、生活習慣を整えることが、頭皮と毛髪の健康につながります。(Dクリニック新宿 医師 杉田淳)
https://news.yahoo.co.jp/articles/4053e0a4e5f7bc6cc420b08b51a07ce30fc16552