福岡県田川市で、市立中学3年の男子生徒が今月5日に自殺していたことがわかった。いじめが原因となった可能性があり、学校はいじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」にあたると認定。市教育委員会は外部の専門家による詳細調査を実施し、自殺の経緯や学校の対応を調べる。

 市教委の小林清教育長らが18日に市役所で記者会見して経緯を説明し、「かけがえのない生徒の命を守れませんでした」と頭を下げた。

 市教委によると、生徒は始業式があった5日に登校せず、学校が保護者に連絡。保護者が、生徒が亡くなっているのを見つけた。遺書などは確認されていないといい、市教委の担当者は「自殺の直接の原因はわからない」と話した。

 ただ、生徒は昨年10月ごろから同級生に「臭い」などとからかわれることがあり、学校に行くのが嫌になったと担任の教員に話していたという。11月以降の欠席日数は今年1月の時点で30日に達し、いじめ防止対策推進法が定める「重大事態」に該当していた。だが、学校は国の指針に基づく市教委への報告をしておらず、市教委もいじめによる不登校の可能性に気付かなかったという。

 担任は、からかっていたとみられる生徒たちに、やめるよう指導する一方で、不登校となった生徒の家庭を訪問。生徒は今年3月には、進学の希望や勉強への意欲を語り、始業式にも登校する意向を保護者に伝えていたという。

 毛利真亨・学校教育課長は、「早く対応できていれば結果は違ったかもしれない」と話した。16日には学校長とともに遺族を訪ね、対応が不十分だったことを謝罪したという。(岩田誠司)

https://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/ASS4L36MGS4LTIPE007M.html