スーパーカブが世界中で広く支持され続けている理由を3つ挙げるとすれば、「誰もが扱えるバイクというコンセプトであること」、「飽きのこないシンプルなデザインであること」、そして「実用的であること」でしょう。

 スーパーカブは戦後、日本の道がまだほとんど舗装されていない時期に、女性でも簡単に操作できるというコンセプトで開発されました。そのため車高を抑え乗り降りしやすい構造や、悪路も走行できる仕様など、多くの工夫がなされています。

 また、「自動遠心クラッチ」という遠心力を利用したクラッチを採用し、ギアチェンジバイクにおいて、左手をクラッチ操作から解放した初めてのバイクでもあります。

 これによりバイクの運転がより楽になり、スーパーカブはさまざまな場面で活躍するようになりました。加えて、低燃費で故障が少ないバイクとして、発売から60年以上たった今でも、スーパーカブは世界中で支持され続けているのです。

 では、スーパーカブは、いったいどのような歴史を歩んできたのでしょうか。

 スーパーカブの起源ともいえるのは、自転車の前輪にエンジンを後付けした「モペッド」と呼ばれる初期の原動機付自転車でした。

ホンダは1952年に、自転車用後付けエンジンキットである「CUB F型」を発売。その後、モペッドをもとに、ホンダは戦後の日本の国情に合った、「誰もが扱えるバイク」というコンセプトの新しい乗り物を開発しました。スーパーなcubということで、1958年に発売されたその新しい乗り物が「スーパーカブ」というわけです。

 また、発売後も国情や市場にあわせ、大幅な仕様変更や頻繁なマイナーチェンジを繰り返しながら、進化しています。

 例えば、発売2年後の1960年にはセルスターターを標準装備、1966年には大幅な仕様変更としてOHCエンジンが採用されました。OHCエンジンを採用することで、エンジンの小型軽量化とコストダウン、燃費の向上に成功しながら、相反するエンジンの高出力化も達成しています。

 その後、高度成長期を経て、日本国内でも環境問題や騒音問題などが取り沙汰されるようになりました。そこで1978年には「昭和54年騒音規制」に対応したスーパーカブを発売し、1981年には105km/L、1983年には180km/Lという超低燃費を達成しています。

 そして時代は下り、2007年には電子制御燃料噴射システム「PGM-FI」を採用し、さらに環境性能は向上しました。

 また、こうした大幅な仕様変更やマイナーチェンジを繰り返しながら、ハンターカブや、ビジネスカブ、リトルカブなど、多様なニーズに対応するスーパーカブの派生モデルがあるのも、スーパーカブの魅力です。

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