同様に、ウクライナ政府も失った領土を全て取り戻すまで戦い続けると主張している。そこには2014年にロシアが違法に併合したクリミア半島も含まれるが、米政府が再考を迫っている兆候はない。
ただ当時のミリー統合参謀本部議長が1年前に筆者に告げたように、「どちらの側も、それぞれの完全な政治上の目的を軍事的手段によって達成する公算は小さい」。従って「恐らくどこかの段階で終わりを迎えるだろう。何らかの形で交渉のテーブルに着くことになる」。
この発言が出たのは、ウクライナが自軍で最高の部隊並びに装備を昨夏の反転攻勢で失う前だった。反攻への期待は高かったが、これによってロシアに決定的な打撃を与えることはできなかった。

米政権の名誉のために言っておくと、彼らの目はそこまで曇っているわけではなく、非公式の場ではウクライナが今後新たに領土を奪還する望みが薄いことを認めている。
しかし依然として、米国が交渉を通じた解決に向けて下準備をしているとの表立った兆候はない。
米国の決意を伝えることでウクライナの交渉上の立場は確保できるが、それによってウクライナ側が妥当な和平条件を拒絶してしまうリスクも生じる。
その場合、仮にそうした条件が提示されてもウクライナは戦闘を継続し、道徳的には正しいが達成不可能な目標を追求することになる。

https://www.cnn.co.jp/usa/35218372.html?ref=rss