「異次元」の円安進行にピークを迎えている国内上場企業の決算会見では経営者から戸惑いの声が相次いだ。

  キーエンスの中田有社長は4月25日の大阪市内での会見で足元の急速な円安について、「われわれの予想のところを超えてしまう変化」が起きていると表現した。
キヤノンの浅田稔専務も同月24日のオンラインでの会見で、為替水準について「極めてレアな状況」とコメント。海外展開や海外から輸入する原材料費の影響などで「昔ほどは円安のメリットは出にくくなっている」という。

  円安はドルなど外貨建てでの稼ぎが多い企業の円換算の利益を押し上げる効果があるが、国内中心の事業展開で輸入が多い企業などにとってはマイナスだ。日本はエネルギーや食料の多くを輸入に頼っており、家計へも打撃となる。

  急激な為替変動が続く中で円安のプラスとマイナス要因を見極めるのは難しい。企業トップから相次ぐ、過度な円安は望ましくないとする意見は、企業経営のかじ取りの難易度が上がっていることを示す。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-02/SCQ9U4T1UM0W00