「イスラエルがハマスを全滅させる前に停戦を求めるなんてばかげている。日本が真珠湾を攻撃した時、世界は停戦を求めただろうか。イスラエルにも勝利のために全てのことをする権利があるのだ!」

 7月28~30日に米首都ワシントン郊外であったキリスト教団体「イスラエルのためのキリスト教徒連合(CUFI)」の年次大会。福音派牧師のジョン・ハギー氏(84)が壇上から訴えると、数千人の聴衆は一斉に立ち上がって大拍手を送り、目に涙を浮かべる人もいた。

 さらにハギー氏は「第二次世界大戦で日本の市民が多く死亡したが、『ジェノサイド』(虐殺)とは言われていない。そして、米国は完全な勝利のために日本に原爆を落とした」とも述べた。

 ハギー氏の演説中、集会に紛れ込んだ親パレスチナの活動家らが「神はパレスチナを愛している」と書かれたバナーを持って何度か立ち上がり、その度にスタッフにつまみ出された。聴衆は「イスラエルは勝つ!」と繰り返し拳を突き上げながら活動家らを挑発し、会場は異様な熱気に包まれた。

文言通りに聖書を解釈
 なぜキリスト教徒がユダヤ教徒の国を支援するのか。福音派は聖書を文言通り受け止め、キリストが再臨する前提としてユダヤ国家の成立が不可欠だと信じる。1948年に建国されたイスラエルはその記述を裏付ける絶対的な存在であり、67年に聖地エルサレムを占領すると福音派は大歓迎した。

 福音派は70~80年代、米社会がリベラル化していく中で、政治的な活動を強めたとされる。80年の大統領選で、保守派の共和党のレーガン大統…
https://mainichi.jp/articles/20240921/k00/00m/030/254000c