米マサチューセッツ州出身のパンクロックバンド、ドロップキック・マーフィーズのX(旧ツイッター)のアカウントが3月17日夜に停止された。この措置は、同バンドのボーカルのケン・ケーシーが公演中に、観客の1人が「MAGA(Make America Great Again、米国を再び偉大な国に)」の文字をあしらった帽子を掲げているのを見て「黙れ」と発言したことが発端だと見られている。

ケーシーは、観客の中にMAGA帽を掲げた者がいることを指摘して、「もし大勢の人がいる場所で、誰がカルトにハマっているか知りたければ、クソみたいな帽子を掲げて大統領を支持してるやつを見ればいい」と発言した。

彼はまた、その観客が持っていた黒いMAGA帽子が、トランプ大統領の横に立つ時のイーロン・マスクが着用している「ナチス版のものだ」と説明した。ケーシーはその後、「今から俺たちは、祖父母の世代や戦争中にナチスと戦った人々についての曲を演奏する。だから、今から5分間だけ黙ってろ」と言い放った。

バンドのXアカウントは、その後停止され、「アカウントは凍結されています」というメッセージが表示されている。この措置が、彼らが公演中のやりとりをX上でシェアしたことが原因なのかどうかは不明だが、バンドのインスタグラムアカウントはまだアクティブで、同じ動画が投稿されている。

ケーシーはその後、「MeidasTouch Network」のポッドキャストに出演し、この出来事について語った。その中で彼は、トランプとマスクに対する嫌悪感を改めて表明し、「どっちが大統領なのかも怪しいが、奴らは本当に労働者階級をバカにしている」と発言した。さらに、「トランプは俺たちが歌うすべての価値観と相容れない存在だ」と述べた。

ケーシーはまた、労働者階級の人々にトランプに立ち向かうように呼びかけ、「MAGAの連中は、MAGAではない人たちが、『ソイラテを飲んでるやつだ』と決めつけようとしているが、そんなのはバカげた考えだ」と述べた(訳注:ソイラテは、一部の保守派の間で都会のリベラル層が飲むものとされている)。

ケーシーがトランプ支持者と対立したのは、これが初めてではない。今月初めのフロリダ州クリアウォーターでの公演でも彼は、トランプを支持する帽子とシャツを着た観客を公然と非難した。その際にケーシーはバンドの公式グッズを指さして、「これは米国製だ」とアピールした。さらに、その観客に対し、「100ドルを賭けよう。もしお前のMAGAシャツが米国製だったなら、お前に100ドルとシャツをやる。もし違ったら、お前は俺のシャツを着るんだ」と持ちかけた。

その後、その観客のシャツが中米のニカラグア製であることが判明し、ケーシーは観衆に「あいつのMAGAシャツはニカラグア製だった! 彼はシャツを脱いでるぞ。俺たちは今、街から犯罪を一掃している!」と叫んだ。