
https://news.yahoo.co.jp/articles/1c2b24b11a3c8974bef23215c82a131ffff91f6f
ラーメン2000円に光明 既成概念覆す動きが相次ぐ
「ラーメン1000円の壁」が叫ばれて久しいが、昨今は1500円の壁を突き抜け、2000円の壁に向かう勢いにある。海外では3000円以上が珍しくなく、むしろ「国内が安すぎた」のだ。既成概念に縛られてきた反動が一気に起ころうとしている。
サイドやドリンクの充実も加速
訪日客でにぎわう「銀座篝本店」(東京都中央区)の「鶏白湯Soba」は1800円(税込み)。約2年間で600円の値上げ。トッピングなどを追加すると軽く2000円を突破
デニーズ(317店)は「日本一予約が取れない」と評される「飯田商店」監修の「味噌らぁ麺」(税込み1419円)を開発。2ヵ月間で想定より約5割増の30万食以上、類似通常メニューの約2倍を販売した。その完成度は多くのメディアで称賛されたが、業界識者をうならせたのは「お薦めセット(同2013円)」の繁盛ぶりだ。
「そもそも1000円の壁とは?」と疑問視するのは新横浜ラーメン博物館の広報担当・中野正博氏。「1000円の壁を神格化しているのは、500円程度の時代からフリークを続けてきた中高年層ではないか。800円程度から慣れ親しんでいる若年層は、あまり壁を感じていない。ラーメン以外の物価高の方が深刻」と指摘。「ラーメン一杯の価格は最低時給が目安。東京なら1163円、全国なら1055円。すでに有名店は軽く超えている」と説く。
とはいえ、値上げが利益に直結するわけではない。ここ2〜3年、個人店では食材原価が約5割、人件費が1割アップしており「過去の値上げ感覚では焼け石に水」というのが共通の本音。従来の利益を確保するには200円以上の客単価アップが必要だという。その即戦力が味卵・チャーシュー・替え玉だ。いずれも追加の定番であり「50円値上げしても注文は堅い」(東京都内有名店)と見込む。と同時に「ドリンクやサイドを充実させ、杯数(客数)より客単価のアップで収益を図る工夫が必要」と課題づける。
一方、値上げに見合う付加価値の演出も活発だ。ある業務用スープ製造は「値上げを納得させるには、濃厚かつ具だくさんが有望。インバウンド客にも価値が伝わりやすい」と語り、「産業給食やフードコートへの営業では辛口と肉増しを組み合わせた提案が決まりやすい」と明かす。
かたや付加価値に対する意識も変化している。外食ジャーナリストの亀高斉氏は「これまでは仕込みの努力や苦労が敬われ、一杯のストーリーが評価されてきたが、そうした情緒的な理屈をZ世代に押しつけるのは難しい。好みの味覚やコスパなど自己的かつ質実的な価値が支持される」と指摘。また「タイパ重視からテーブルチェックなどの予約課金には肯定的。時短の環境整備も重要」と展望する。
「一風堂」など約290店舗を展開する力の源ホールディングスの河原成美社長は、かつて「おいしければ許されると思ったら大間違い。プラスお客の精神的満足を徹底的に追求すべき」と強調。ラーメンの国際化を率先し、いまや海外14ヵ国・約140店舗を展開。国内の4〜5倍と目される客単価を実現している。
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