車の安全基準、「米国式」は歩行者を守る基準なし…関税交渉で受け入れなら事故増加の恐れも

日本の自動車の安全基準を「非関税障壁」とみなすトランプ米大統領の主張を巡り、米国独自の基準のみに適合した車をそのまま国内に受け入れた場合、歩行者の安全性が後退するとの懸念が出ている。
日本の基準の多くは過去の事故を教訓とし、国連基準にも盛り込まれてきた。事故の遺族からも心配する声があがっている。

「日本や欧州で採用している国連基準と違い、米国の車には歩行者を守る基準がない」。国土交通省幹部はそう説明する。

トランプ氏が特にやり玉に挙げてきたのが、その歩行者の頭部保護基準だ。自身のSNSに「日本のボウリングボール試験」と書き込み、「ボウリングの球を落としてボンネットがへこむ車は不合格になる」と批判してきた。

だが、実際に行っているのは、はねられた歩行者の頭部を守るため、ボンネットなどに一定の軟らかさを求める試験で、大人や子どもの頭に見立てた半球状の測定機を時速35キロでぶつけて衝撃を測っている。

道幅に制約があり、「歩車分離」が物理的に難しい道路が多い日本では、歩行者が犠牲になる事故の割合が高い。そのため、国交省は「交通死を最大年100人減らす効果が期待できる」として2004年に安全基準に導入。日本が主導し、国連基準にも盛り込まれた。

歩車分離が進むなど道路事情が異なる米国には、こうした歩行者保護基準はなく、トランプ氏は誤った認識に基づき日本に基準緩和を求めてきたことになる。

米国側に存在しない安全基準は、他にもある。

日本の乗用車などは、6歳児を模した円柱(高さ1メートル、直径30センチ)を車の前や側面に置き、運転席から視認できる必要がある。車高やボンネットの影響で直接見えない場合、「サイドアンダーミラー」と呼ばれる補助ミラーの設置義務付けが03年に決まった。

レジャー用多目的車(RV)の流行などにより、死角にいた子や孫を巻き込んでしまう事故が相次いだことを受けたもので、これも国連基準に採用されている。緩和すれば子どもを巻き込む事故が増える恐れがある。

https://news.yahoo.co.jp/articles/97aba2e8f4fce8f8f51cede27fa3d84f1aaadc3e?page=1

https://dec.2chan.net/up2/src/fu4992460.jpeg
https://dec.2chan.net/up2/src/fu4992461.jpeg