「ウドン」がつないだ香川とカンボジア 大学生が進める医療教育支援

 途上国の新生児死亡率を改善しようと、香川大の学生ボランティアサークルが、医療教育の支援を進めている。
訓練用の赤ちゃん人形などをクラウドファンディング(CF)で集めた資金で購入して送る。
現地の医療従事者に新生児の蘇生法を学んでもらう狙いだ。

 香川大の国際ボランティアサークル「U-dawn(ユードーン)」は、途上国支援を目的に昨春発足した。
代表の矢野晴美さん(22)は国際NGO「国境なき医師団」に憧れ、医学部に進学。
大学3年時にはNPOの事業でカンボジアに5日間行き、病院で医療スタッフとしてボランティア活動をした。

 矢野さんは「限られた医療資材で診療している様子を見て、カンボジアのために何かできないかと考えるようになった」。
ボランティアの派遣先が「ウドン」と呼ばれる地域だったことも、香川の学生として「不思議な縁を感じた」という。

「技術を学んでもらい、命を救えたら」

 帰国後に医学部生ら3人とサークルを設立。メンバーは現在19人に増え、週に1度、
テレビ会議システムでカンボジアの医学生や現地の日本人医師らと交流するなどし、途上国の医療環境について学んでいる。

 国連児童基金(ユニセフ)によると、日本の新生児死亡率が出生1千件あたり1人なのに対し、カンボジアでは14人に上る。

 矢野さんは「カンボジアでは医療教育が行き届いておらず、正しい蘇生法を知らない医療従事者も少なくない。
赤ちゃん人形などを活用して技術を学んでもらい、命を救えたら」と話す。
気道確保に使う「挿管チューブ」や、手押し式ポンプで口から空気を送り込む「換気バッグ」なども送る予定で、
医療物品は現地のNPOがカンボジアの病院などで講習をする際に活用するという。

 CFの返礼品には、県内のうどん店で使える割引券や土産用うどんなどを用意した。
メンバーが直接店舗に出向いて協力を求め、18店が募金箱やポスターを設置してくれている。

 CFは昨年12月13日に始め、3日間で目標金額の40万円を達成。現在は目標金額を80万円にして、1月31日まで受け付けている。
詳しくは、U-dawnのホームページ(http://u-dawn.com別ウインドウで開きます)。(堅島敢太郎)

https://www.asahi.com/articles/ASQ1T6SJTQ1KPTLC01B.html