非モテが「男女平等なんて夢」と暴れ回る切実事情!世界中で問題になっているインセルとは何か

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何者にもなれない「中年おじさん」が苦しむ呪縛

■インセル(非モテ)とは何ものか

 近年、非モテ(Incel)の存在が注目されている。インセルたちの反逆や暴力という現象が国際的な社会問題になってきたからだ。

 IncelとはInvoluntary Celibateの略語である。望まない禁欲者、非自発的な独身者、というような意味だ。もともとはカナダの女性がウェブ上で用いた言葉で、当初は女性嫌悪やアンチ・フェミニズムなどの意味合いは含まれていなかったという。

 しかしやがて、非モテを自覚あるいは自称する当事者男性たちが、匿名掲示板などでインセルという言葉を積極的に用いるようになった。彼らの言動は、女性憎悪、暴力肯定、人種差別などと深く結びついてきた。

 ひとまず重要なのは、インセルたちは必ずしも経済的な貧困層に属しているわけではないし、あるいは政治的マイノリティであるとも限らない、ということだ。インセルを語る上では、彼らの独特な孤独感、尊厳の傷つきや剥奪感がポイントとなる。

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■「ダークヒーロー」としてのインセル

 こうした国際的な動向の背景には、何があるのか。有名なアクティヴィスト、フランコ・ベラルディは、『大量殺人の〝ダークヒーロー〟──なぜ若者は、銃乱射や自爆テロに走るのか?』(杉村昌昭訳、作品社、2017年、原著2015年)の中で、パリの同時多発テロ、コロンバイン高校の銃乱射事件、ヴァージニア工科大学のチョ・スンヒによる銃乱射事件など、世界中の銃乱射事件や大量殺傷事件について分析した。

 ベラルディによれば、彼らの行動は「スペクタクル的【見世物的、劇場的──引用者注】な殺戮を伴った自殺」のようなものである。つまりそれは、現代的な「絶対資本主義」(金融資本主義)がもたらす絶望への「痙攣的」な反応なのだ。その意味で、彼らの大量殺人は「われわれの時代の主要な傾向を、極端な形で体現」している、とベラルディは述べる。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/d61bb27d0c0b39b327e195d92ff6d66e20527e16

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