ファミリー層に安くて「楽しい」焼き肉を提案する焼肉きんぐと、ソロ焼き肉の手軽さと営業効率を追求した焼肉ライク――。こうしたニューカマーの勢いに押され、店舗数日本一を誇る絶対王者「牛角」の人気に翳(かげ)りが見えている。「炭火焼き肉」に価格破壊を起こし、海苔(のり)やネギをトッピングした「カルビ専用ごはん」や「牛角アイス」など目新しいサイドメニューで集客してきた牛角だが、店舗数は3年連続で減少中だ。その理由を、フードアナリストの重盛高雄氏が分析する。

「近年の牛角は、食べ放題や電子マネー決済を実施している店もあればそうでない店もあり、戦略にブレがあります。最も安い食べ放題(税込み3278円)は70品中『牛』とつくメニューが3品しかなく、注文してもなかなか届かないことがある。看板メニューを食べ放題にラインアップする焼肉きんぐのほうが、ストレスがありません」

有名焼き肉チェーンの関係者は、牛角の苦境をこう見ている。

「牛角は、フランチャイズ店が大半で人材育成が追いつかないうえに、閉店が続き、経験豊富な従業員が他チェーンに流出している。品数が増えてオペレーションが複雑化していく一方で、人手は足りない。結果、ピーク時に客を待たせる店が増えている」


牛角のように苦戦している老舗(しにせ)がある。’63年創業の「安楽亭」だ。以前から食べ放題を売りにリーズナブル路線を取ってきた。税込み3498円で80品以上が食べ放題の「パワー焼肉コース」が主力だが、’22年3月期決算は5億7100万円の赤字見通し。集客力回復が課題だ。


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