県民の多くは茨城の読み方を「いばらき」と認識しているものの、県外の人からは「いばらぎ」と言い間違えられる場面に度々遭遇する。<イバラギと発音している人がいたら、「それはイバラキの間違いです」と忠告してあげましょう。(中略)正しいものは正しいのです。絶対相手に認めさせてください。これは茨城県民にとっての聖戦なのです>。2004年に出版された「いばらぎじゃなくていばらき」(茨城新聞社)はこう呼びかける。

 著者は、ライターやラジオパーソナリティーとして活動する茨城在住の青木智也さん。コミカルに地域の魅力を発信するウェブサイト「茨城王(イバラキング)」を運営している。サイトのコンテンツをまとめた同書は話題を呼び、06年には続編も発行された。

 間違えられる背景の一つに、茨城弁があるという見方もある。ラジオ局のアナウンサーとして30年以上のキャリアを持つ茨城放送の阿部重典社長は「年配の方々は、『か行』などの発音で濁音化することが多くて、『いばらき』という認識はあっても、『ぎ』と言ってしまっていることも多いのでは」と指摘する。

 阿部さんは「茨城に関心がない人からすれば、どちらでも問題ないのだと思う」と苦笑いしつつ、「若い世代では『いばらき』と発音する人が相当増えてきているので、これから先は『ぎ』じゃなくて『き』だということが全国に広まっていくだろうし、そうあってほしい」。にごりのない茨城の認知度アップを願っている。

https://mainichi.jp/articles/20230804/k00/00m/040/132000c