スコットは、だからこそ自身の映画ではひとつの題材に絞り込むのだと続け、「最高の映画とはキャラクターによって突き動かされるもの」と展開。そこに、こう加えたのである。「お望みであれば、次はスーパーヒーロー映画について話してもいい。潰してやれますから。ぶっ潰してやれますから。あんなものはクソくだらない(They’re fucking boring as shit)」。

突然の批判に、インタビュワーは「スーパーヒーロー映画のどういったところがお気に召さないのですか?」と尋ねる。するとスコットは「脚本が全くダメだ(Their scripts are not any fucking good)」と批判。「私は素晴らしい脚本のスーパーヒーロー3作を作った」と続ける。監督が自ら挙げるのは、『エイリアン』『グラディエーター』そして『ブレードランナー』だ。

スーパーヒーロー映画といえば、スーパーパワーを持った主人公による勧善懲悪の物語を思い浮かべるだろう。スコットはこの3作は紛れもなくスーパーヒーロー映画であるとしながら、「なぜスーパーヒーロー映画にはまともなストーリーがないのか」と嘆いている。こうした映画に物語としての魅力を感じていない様子のスコットは、スーパーヒーロー映画とは「だいたい特殊効果でなんとかなっている」ものであり、「特殊効果の仕事をする人からすれば、どんどんつまらないものになっている」と痛烈に語るのだった。

このインタビューの終盤では、ナポレオンへの思いや西部劇に対するインスピレーションを語ったスコット。最後に今後の企画について「スーパーヒーロー映画はもうやりませんよね」と確認されたスコットは、「(『ブレードランナー』の)ハリソン・フォードはスーパーヒーローだ」と持論を語る。「でも、みなさん困惑するでしょう。彼は最後、他のスーパーヒーローに叩きのめされるから。そいつは悪人だと思っていたのに、実際には善人だったと。最高だと思います」。こう話すのは、デッカードとロイ・バッティの複雑なドラマを気に入ってのことだろう。

リドリー・スコットがスーパーヒーロー映画を大ぴらに批判するのはこれが初めてではない。2016年にも「スーパーヒーロー映画は私のやることじゃない。だからやったことがない」と語っていたことがある。この時スコットは、スーパーヒーロー映画の監督を頼まれたことがそれまでも何度もありながら、「非現実的な状況でか細い綱を渡るような、薄っぺらいスーパーヒーロー映画なぞ信じられない」と指摘していた。

https://theriver.jp/ridley-scott-superhero/