今さら聞けない クリスマス菓子「シュトレン」の正しい食べ方 日本で流行した要因も
 クリスマスが近づくと、パン屋や洋菓子店、百貨店やスーパーなどでよく見かけるようになるお菓子、シュトレン。「シュトーレン」と呼ばれることも多いですが、公益財団法人日独協会によると「シュトレン」が正しい発音だそう。日本ではこの数年で一気に人気が高まったように感じますが、ドイツ発祥の伝統的な焼菓子です。人気パン屋や洋菓子店のシュトレンを手に入れるには予約必至。すっかり市民権を得ていますが、どんな意味や食べ方があるのか、いまさら聞けない人も多いのでは? シュトレンの基礎知識をご紹介します。

発祥はドイツ・ドレスデン 領主への献上品だった

 諸説ありますが、シュトレンはドイツ・ドレスデンが発祥の地と言われ、その歴史は1400年代から始まったと言われています。ドレスナー・シュトレン保護協会によると、中世ではクリスマス前の約4週間が断食期間にあたり、その間でも口にすることが許されていた小麦粉、酵母、油、水だけで作られた素朴な味わいの食べ物がシュトレンの原型と言われています。

 15世紀末にローマ教皇によって、バターと牛乳の使用を認められるようになり、その後ドライフルーツやナッツなども加わった味わい深いシュトレンへと変貌を遂げました。1600年代には、ドレスデンのパン職人たちは約16キロのシュトレンをクリスマスのために領主に納めるのが通例となったそうです。

 本場ドレスデンでは、ドレスナー・シュトレン保護協会が定める品質に合格したシュトレンのみ貼付が許され販売できる、「ドレスデン・クリストシュトレン」と呼ばれる金色の認定シールがあるほど。協会は18日間をかけて材料や表面や内面の質感、匂いや味について厳格な審査を行い、伝統菓子を守っています。

 シュトレンは日持ちする焼菓子です。クリスマスの約4週間前から始まる断食期間中、キリストの降誕にあたる12月25日を待ち侘びながら、毎日少しずつ食べるのが本場ドイツの習わしです。中に入っているドライフルーツやスパイス、周りのバターや砂糖がだんだん生地と馴染んで食感や味が変化してくるのも楽しみのひとつですね。

 約4週間にわたって毎日スライスして、保存は大丈夫なの? と気にする人もいるかもしれません。多くのシュトレンは洋酒漬けされたドライフルーツがふんだんに使われ、生地が焼き上げられた後に溶かしバターと大量の砂糖でコーティングされるため、傷みにくいとされています。

 そしてスライスする際には、端からではなく真ん中で2つに割って、それぞれ中心側からスライスしていくのがポイント。スライス後は断面と断面を合わせて空気に触れにくくした上、ラップなどで包んでから保存袋などに入れて、冷暗所で保存するのが良いでしょう。ただし、商品によってはクリスマスまでもたないものもあるので、消費期限はチェックしてくださいね。
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