黒人夫妻が自宅を「ホワイトウオッシュ」したら、不動産査定額が5700万円アップした

ポール・オースティンは昨年、サンフランシスコのベイエリアの自宅に不動産鑑定士を呼んだとき、自信をもって家の中を案内した。キッチンやバスルームなどを大規模に改装済みだったし、鑑定士も新しい暖炉やベランダからの眺めをたたえた。

だから、その鑑定士が99万5000ドルの査定額をつけてきたとき、オースティンはあまりにも低すぎると衝撃を受けた。

「侮辱された思いでした」と、オースティンは地元テレビ局に語っている。

そこでオースティンと妻のテニーシャ(2人とも黒人)は、その査定額がつけられた3週間後に別の鑑定人に依頼することにした。ただし、今度は白人の友人であるジャンに家主の振りをしてもらい、家を「ホワイトウオッシュ」してから見せることにした。家に飾ってあったアフリカンアートや家族写真を取り除き、代わりにジャンの家族写真を置いたのだ。

すると、新たな査定額は148万ドルと出た。「白人の家」にしただけで、なんと50万ドル近くも跳ね上がったのだ。

オースティン夫妻は先週、最初に低く見積もった鑑定人とその不動産会社を相手取って訴訟を起こした。夫妻は「私たち家主が黒人で、この家が黒人の多い地域にあるから」という理由で、故意に安い査定額がつけられたと考えており、賠償金を求めると同時に、被告側が今後そうした差別的な不動産鑑定をしないよう命じることも裁判所に要求している。
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