書評家が本紹介TikTokerけんごをくさし、けんごが活動休止を決めた件は出版業界にとって大損害

■2021年に女子中高生にけんごが与えた影響はきわめて大きかった

今年発表された毎日新聞社と全国学校図書館協議会(全国SLA)による学校読書調査の結果を見ると、中高生女子に対するけんごをはじめとするBookTokerの影響力は一目瞭然である。

「今の学年になってから読んだ本」の上位に来ている『桜のような僕の恋人』『あの花が咲く丘で君とまた出会えたら。』『余命10年』などの作品およびその書き手、以前から学校読書調査上で人気があったが、TIkTokをきっかけに再ブレイクした代表的な作品である。

注目したいのは「読んだ」と言っている人数だ。

高2、高3女子でトップとなった『桜のような僕の恋人』は高2女子で21人、高3女子で15人が挙げている。

(2021年の学校読書調査では高校1〜3年生4902名を対象に実施されているから、女子は各学年800人くらい)

これは例年の約2倍にあたる。

たとえば前回2019年調査で1位になった作品は高2女子が『君は月夜に光り輝く』で8人、高3女子が『君の膵臓をたべたい』で6人である(2019年調査は高1〜3年生3479人を対象としており、21年は1.4倍になっているが、それを鑑みると実質2倍程度になる)。

TikTokをきっかけにトップ作品の本は倍も読まれるようになり、2位以下も(必ずしもTikTokの影響だけとは言い切れないものの)例年より明らかに増えている。

けんごが活動休止することでこの流れが途絶え、ほかの本紹介TikTokerも萎縮するなど負の影響が及んだとすると、今年プラスで発生した読書量が再び失われることになりかねない。

(以下ソース)
https://news.yahoo.co.jp/byline/iidaichishi/20211211-00272115