今、日本の若者たちのあいだで、地方移住がちょっとしたトレンドになっている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを受け、都会の生活を捨てることを決意した彼らは、今まで温めてきた夢を叶えるための大きな一歩を踏み出した。

ハシモトカナ(25)は定年になったら農業をやろうと夢見ながら、東京の保険会社の底辺であくせく働いていた。そんなとき、パンデミックが発生した。

ハシモトは、自分が本当にやりたいことは何だろうと考え直した。そのなかに、東京にとどまることは含まれていなかった。

2021年4月、彼女は熊本県にある人口約1万1000人の村、南阿蘇村に引っ越した。現在彼女は、農作業や近所のレストランに地元の食材を配達する手伝いをしたり、味噌汁店や温泉宿で働いたりして、自分が好きな仕事をたくさんバランスよくこなしている。

「今では生活がすっかり変わりました」と、彼女は話す。

「もう、ずっと東京で生活するなんて想像できません。ここで、自然に囲まれて生活するのが好きなんです。東京にいたときより健康になったと思うし、精神的にも満たされています」

東京に見切りをつけはじめた若者たち

パンデミックによって、世界中の人々が人生の選択を見直すことになった。とくに、厳しい労働文化のなかで選択肢が少ない日本のような国では、自分の将来がどうあるべきか、あるいはどうあるべきでないかを考え直す、めったにない機会となった。
https://courrier.jp/news/archives/270738/
政府が1万人以上を対象におこなった調査によれば、東京とその近郊では、とくに20代と30代のあいだで生き方を見直す傾向が強まっている。