小鳥と会話できるかも 「ことば」解読へ、東北大が寄付呼びかけ
2022/1/8 08:47
https://mainichi.jp/articles/20220108/k00/00m/040/056000c


VR機器を使って小鳥の声を録音する実験の様子=安部教授提供
 人間の考えを動物に伝えることは可能なのか――。そんな素朴な疑問を追究する東北大大学院生命科学研究科の研究グループが、小鳥の「ことば」を解読するための研究費をクラウドファンディング(CF)で集めている。
目標金額は200万円で、安部健太郎教授(神経科学)は「寄付により研究の初期から関わることで、分からないことが解明される過程を楽しんでもらえるのでは」と支援を呼びかけている。

 研究グループは、犬や猫より多彩な音声でコミュニケーションをとるジュウシマツの小鳥を使い、仮想現実(VR)でさまざまな環境を再現。「他の鳥が襲われつつある」、「隣のケージの鳥同士が仲良くしている」、
「エサが無い」といった状況を研究室に作り出し、その都度、どんな声を発するのかを記録し、分析している。研究が進展すると、小鳥のアバター(分身)とVR上で会話できるようになるという。

 ただ、コミュニケーションの在り方は個体差が大きく、多くの鳥で調べる必要がある。そこで解析用のコンピューターやモニターなどの実験機材を増設する費用をCFで募ることにした。
2021年12月20日からCFサイト「レディーフォー」で始め、今月7日現在、35人から約135万円が寄付された。支援は5000円からで期間は2月28日まで。

 こうした基礎研究は短期間で成果が出にくいため予算の確保が困難で、近年はCFを活用する大学が増えている。安部教授は、研究資金の調達に加え、「基礎研究でも社会から関心が持たれることを若い研究者や一般の人に伝えたい」と話す。
1万円以上の支援者には9〜10月ごろ、研究成果の報告会をオンラインで開く予定だ。

 寄付の問い合わせは東北大基金事務局(メールkikin@grp.tohoku.ac.jp、電話022・217・5058)。【深津誠】