
すごい時代がやって来た。橋下徹元大阪市長の弁舌をとらえて「ヒトラーを想起する」と評すれば、あるいは先日死去した石原慎太郎元東京都知事の言動を批判すれば、どれも「ヘイトスピーチ」なのだ、と政治家が主張し始めたのだ。
日本のヘイトスピーチ研究の草分け、前田朗・東京造形大名誉教授は開いた口がふさがらない。【吉井理記/デジタル報道センター】
◆……全く違います。ヘイトスピーチではありません。世界はもちろん、日本にもそんな考えはない。それは歴然としています。
ヒトラーに例えて論評することがふさわしいかどうか、という問題はありますが、ヘイトスピーチとは何の関係もありません。
――今さらですが、ヘイトスピーチとは何でしょう。
◆国際的に確立した定義はありません。ただし、国際人権規約(国連総会で1966年採択)の20条(戦争をあおったり、差別や敵意、暴力をあおる国民的、人種的、宗教的憎悪を唱えることの禁止)と、
人種差別撤廃条約(65年採択)の4条(あらゆる人種的な優越や憎悪に基づく思想の流布、差別の扇動などの禁止)にあたるものをヘイトスピーチとするのが世界の共通認識です。
現在では性別や障害に基づく差別扇動なども含むことが多い。
https://mainichi.jp/articles/20220204/k00/00m/010/318000c