「この町の常識は、他の自治体の常識とはまるで異なります。町長と、その取り巻きによって町全体が支配されている。ここには民主主義なんて存在しないのです」

こう語るのは、福岡県田川郡大任町の町議会副議長・次谷隆澄氏だ。

2月3日、大任町町長の永原譲二氏(68歳)が20代の男性町職員に特殊警棒を出して脅したとして、暴力行為等処罰法違反の疑いで書類送検された。

「町長を批判するビラを配っていた町民たちの前に、10名以上の人数を引き連れた永原氏が現れて『殺すぞ』と怒鳴りつけて威嚇したのです。
現場となった町の集会所の駐車場には、町長の支持派と反対派あわせて数十人が集まり、警察が出動するほどの大騒ぎになりました」(捜査関係者)

さながら任侠映画のワンシーンだ。この件について町役場に問い合わせてみたところ、総務課の担当者はこう答えた。

「市民活動をするグループに、町の職員がいるということで町長が叱責したと認識しております」

大任町では、今回の騒動が霞むほどの事件が何度も起きている。

たとえば'86年に当時の町長が執務中、乱入した暴漢に射殺された。'02年にも町議会議長が銃撃を受けて負傷している。'03年には最多得票当選の町議が高級車窃盗団の頭領だと発覚、逮捕された。

ホラー小説の題材になったと言われている事件もある。「指切り保険金詐欺事件」だ。町の水道係長が、博打で作った借金を返すためにわざと自分の指を切って傷害保険金を詐取したのだ。

この係長以外にも「指切り」に関与した人は多く、暴力団員や金融業者、主婦など30人以上が詐欺容疑で逮捕された。

「こうした不祥事が続出するのは、歴代町長による独裁体制が原因なのではないかと私は考えています。永原氏は5期17年の長期政権を築きました。私自身、常に命の危険は感じています。今回の書類送検は、民主的な町にするための第一歩だと信じています」(次谷氏)

果たして、この「修羅の町」は生まれ変わることができるのだろうか。

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