[ワシントン 5日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は5日、ロシアのウクライナ侵攻、それを受けたロシアへの制裁は世界経済に深刻な影響を与えることになると指摘した。またウクライナから要請があった14億ドルの緊急融資を、来週にも理事会に諮る見通しを示した。

国際通貨基金(IMF)は5日、ロシアのウクライナ侵攻、それを受けたロシアへの制裁は世界経済に深刻な影響を与えることになると指摘した。写真はワシントンの本部ビルのロゴ。2018年9月撮影(2022年 ロイター//Yuri Gripas)
IMFは声明で、ウクライナでの戦闘はすでにエネルギーと穀物価格を押し上げ、100万人以上が難民となって近隣諸国に流れ、ロシアに対する前例のない制裁につながったと指摘、「状況は依然として非常に流動的で、見通しは極めて不確実だが、すでに経済への影響は非常に深刻だ」と述べた。

「現在続いている戦争とそれに伴う制裁は、世界経済にも深刻な影響を与える」と警告し、すでに物価上昇圧力が高い状況で起きた危機がインフレと経済活動に悪影響を与えていると指摘した。

物価のショックが世界各国で起こるとみられ、当局は食料と燃料が支出に占める割合が高い貧困世帯に支援を行うべきだと主張、戦争が激化すれば経済的打撃はさらに大きくなると指摘した。

米欧など西側諸国の大規模な対ロシア制裁は「世界経済や金融市場に大きな影響を与え、他国にも多大な影響が広がる」とした。

<ウクライナ、モルドバへの影響>

ウクライナでは人的被害だけでなく、インフラが破壊されるなど、経済的打撃も深刻だ。

IMFは「現段階で資金ニーズを正確に評価することは非常に難しいが、ウクライナが多額の復旧・復興費用に直面することはすでに明らか」と述べた。

またモルドバなどウクライナやロシアと経済的関係が強い国は物資不足や供給途絶の「特別なリスク」にさらされていると指摘した。

モルドバは、ウクライナ危機を受け、IMFに既存の5億5800万ドルの融資プログラムの増強を要請。IMFと同国向け融資の選択肢を協議している。

ソース
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-imf-idJPKBN2L302H