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ロシアのウクライナ攻撃 - 正戦論はこの紛争に何を提供するのか? -
戦争は常に破壊的であり、したがって戦争の政治性と道徳性は常に問題視される。
しかし、ロシアのウクライナ攻撃ほど、正義と道徳に無頓着な侵略は近年稀である。

現代の正義の戦争理論[(正戦論)]の原則は、
古代末期から近世にかけて展開されたカトリックの正義の戦争理論から発展したものである。
聖アウグスティヌス、トマス・アクィナス、そしてその間に活躍した多くの思想家たちは、
キリスト教の諸侯の間でなぜ戦争が起こるのかを理解し、
これらの諸侯が主張する正義を評価する方法を開発する必要があった。
彼らは古代人(トゥキディデスとキケロは戦争と正義の関係について、矛盾しているとはいえ、広範な説明をしている)、
現代のキリスト教倫理、そして何世紀ものヨーロッパの軍事的経験をもとに、戦争と正義の関係を理解した。

正義の戦争理論は、jus ad bellum(戦争の正義をどのように判断するか)[(戦争のための法}]と
jus in bello(戦争中の行動をどのように判断するか)[(戦争における法)]を区別している。

現代の最も重要なテキスト(外交政策や職業軍人教育(PME)プログラムでよく使われる)は
マイケル・ウォルツァーの『Just and Unjust Wars: A Moral Argument with Historical Illustrations』(
正義の戦争と不正義の戦争:歴史的イラストによる道徳的主張)[邦題:『正しい戦争と不正な戦争』]である。

ウォルツァーは、イスラエルの正義の戦争に関する主張に過度の信頼と余裕を与えていると批判されてきたが、
それでも彼の著書は、戦争の正義について考えるための重要な現代の試金石であり続けている。
確かに、これは正義の戦争に関する一つの伝統に過ぎない。正義の戦争の原則はイスラム世界では異なっており、古代ギリシャでも異なっていた。
とはいえ、この一連の思想は一般に西洋の戦争倫理学者を導き、武力紛争法の発展をある程度導いてきた。