新築戸建ては「8割が欠陥住宅」、施工不良が相次ぐ深刻な事情とは

● 新築一戸建て住宅の約8割に 強度や耐震性にかかわる構造的不具合

 新築一戸建て住宅の販売が好調だ。国土交通省によると、2021年の新設住宅着工戸数は前年比5.0%増の85万6484戸。コロナ前の水準には達していないものの、全体としては5年ぶりの増加となった。
 中でも注文住宅にあたる「持家」は28万5575戸で前年比9.4%増、建て売りを含む「分譲住宅(一戸建住宅)」14万1094戸と7.9%増の結果となった。コロナ禍によるリモートワークの普及や巣ごもりによる生活スタイルの見直し、新築マンションの価格高騰など複合的な要因から新築一戸建てに人気が集まっているのだ。

 さくら事務所では、新築工事中の物件を対象にした「新築工事チェック」サービスを手がけている。専門の知識とスキルを持つ経験豊富なホームインスペクター(住宅診断士)が、第三者の視点で着工から竣工まで建築工事を細かくチェックし、施工不良などがないか確認する検査だ。

 当社では、年間100棟を超える新築一戸建ての工事中検査を行い、工事の工程別に実施している。その中でも「構造検査」は重要な意味を持つ検査であり、新築工事チェックの根幹をなす検査と言ってもいいだろう。

 そこで、実際に行った構造検査のデータを集計したところ、何とその82%に構造的な不具合が見つかっているのである。実施した182棟のうち、150棟の新築戸建てにおいて構造に不具合があるという結果に驚く方も少なくないはずだ。
● 新築工事チェックで見つかった 構造的不具合の2つのケース

 「構造検査」では、柱や梁の寸法の確認、柱と梁等を接続する金物の取り付け状況、建物を支える耐力壁の構成や位置、木材の含水率や防蟻処理の状況までくまなくチェックを行っている。住宅の強度に関係してくる大事な検査で、大きな地震に対して有効な構造かどうかを調べる大切な検査でもある。

 例えば2016年に発生した熊本地震では、最新の耐震基準で建てられた7棟が倒壊するという衝撃的なニュースが報じられた。実はこのうち3棟は「接合部仕様が不十分」であり、最新の建築基準法にのっとっていなかった可能性があることが明らかとなっている。

 接合部とは、柱や筋かいと土台や梁などを固定している部分のことで、まさに構造検査のチェック項目である。故意のミスではなくとも、このような構造的不具合により、地震に弱い住宅となってしまうのだ。

 そこで、「新築工事チェック」で見つかった構造的不具合のケースを2例挙げて紹介する。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4fd961b6c359551e81287d4b955d6d407161bff3