密回避で海釣り人気の裏で…サザエ・タコ・ウニ「レジャー感覚」の密漁急増

第6管区海上保安本部管内の瀬戸内海などで、漁業関係の法令違反が急増している。昨年1年間の密漁の取り締まりでは、書類送検などの送致件数が前年の倍近くに増え、漁業関係者も頭を悩ませる。6管は、コロナ禍で密を避けられる海釣りなどが人気となる一方、レジャー感覚で密漁に及ぶ人が増えているとみており、暖かくなるシーズンを前に警戒を強めている。

 6管によると、管内の瀬戸内海や宇和海など(広島、岡山、香川、愛媛各県と山口県の一部)では、漁業者以外の一般の遊漁者によるサザエやタコ、ウニなどの密漁の送致が2021年に151件あり、前年の81件から急増した。
 151件のうち、各県の漁業調整規則で禁止されている漁法や漁具に関する違反が66件と最多。うち約8割(52件)は、船から海に餌をまいて魚をおびき寄せるまき餌釣りで、20年には1件もなかった。

 船からのまき餌釣りは、6管内では山口県以外で禁止されているが、以前から苦情が複数あり、悪質性が高いケースについて検挙に踏み切ったという。

 アワビやナマコなどの特定水産動植物を無許可で取った漁業法違反が5件あったほか、産卵や繁殖のため魚介類の採捕が禁止されている保護水面で、釣りなどをした違反もあった。
 広島湾では近年、違法にまき餌釣りをするプレジャーボートがコロナの流行前より増えているとみられる。広島市の60歳代男性漁師は、昨夏の土日に1日20~30隻を確認したといい、「こちらは許可を得てお金も払って漁をしているのに、同じ漁法で漁をされるのは許せない」と憤る。

 5月は、釣り人による密漁の検挙が増える時期で、6管の高橋修刑事課長は「海域によって、取ってはいけない魚介類や禁止されている漁法が定められており、注意喚起の看板も設置している。漁業関係者の生活や水産資源に影響を与えないためにも、必ずルールを守ってほしい」と呼びかけている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/235f61ed4267e32c25220a45e13577d17fcbbea3