ジェンダー問題、ミソジニーVS.フェミニストの男女間バトルが起きる理由
『僕の狂ったフェミ彼女』読後対談【後編】

◆「フェミニスト」は当たり前という男性意識
福田:私は比較的コンサバないわゆる日本の一般家庭で育ちました。
おばあちゃんも一緒に暮らす生活のなかで、「今の若い男の人はかわいそうねえ。
仕事も育児もしなきゃいけないなんて」みたいな言葉もよく耳にしています。
育児=大変なこと、マイナスなこと、というイメージですね。
でも、私が留学したスウェーデンでは、育児を比較的ポジティブにとらえていて、
「二度と取り戻せない貴重な時間を我が子と共有するのは親の権利」と考えているんです。
先ほど出てきた「家族サービス」という言葉もそうですが、子どもだって親に
「義務を果たしてます」という態度でイヤイヤ遊んでもらうより、心から一緒にいたいと思って遊んでもらうほうが絶対にハッピーですよね。
そういう意味では、ギスギスするのもハッピーになるのもマインドセット次第なのかなって。

清田:確かにそうですよね。でも、子育てや生活を自分の「権利」だと見なす発想って日本では定着していないものだと感じます。

福田:これは最初の留学時、まだスウェーデン社会のことをよく知らなかった頃の話なんですが、
当時付き合っていたスウェーデン人の彼に「あなたはフェミニストなの?」とちょっとビビリながら訊いたことがありました。
そうしたら「えっ、フェミニストじゃないってどういうこと? フェミニストじゃないってことは、
ジェンダー平等じゃなくていいと思っているって意味?」と言われたんです。
むしろ「なんでそんなこと訊くの?」みたいな空気になって(笑)。あれは感動的でしたね。
元彼は、特別にジェンダーを学んでいるわけでもない、普通に高校を出て仕事をしている人でした。

清田:すごい、なかなか出てこない言葉ですよね。

福田:ですよね。他にもエピソードがあるんです。彼の家に遊びに行ってご両親と食事をした際、
お父さんのワイングラスが空になっていたので何気なくワインをつごうとしたら、
「僕はあなたと対等に話をしたいと思っている。気持ちはありがたいけどワインなら自分でつげるし、
まるで僕の立場が上みたいに感じられて居心地が悪いからやらないで」と言われたんです。
大学のパーティーでも教授に同じことを言われました。

清田:その場面、日本だと気遣いやマナーくらいの勢いでつぐことを推奨されますもんね……。

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