ウクライナ侵攻で“小麦争奪戦”「3月から供給停止」で大混乱 ロシアの戦略?


 ロシア軍によるウクライナ侵攻は食糧危機を招きかねない状況となっています。ロシアの攻撃で港が閉鎖されたため、大量の小麦が輸出できなくなっているからです。今後、懸念されるのは世界的な「小麦争奪戦」です。

 G7(主要7カ国)の外相は共同声明を採択。ウクライナ侵攻により、ロシアが世界的な食料危機を招いていると非難しています。

 ドイツ、ベアボック外相:「ロシアはウクライナに対する軍事戦争を今や『小麦戦争』とでも言うべきものとして、世界の多くの国家、特にアフリカに拡大することを意図的に選択しています」

 世界中で「小麦の争奪戦」が巻き起こる懸念が。

 ロシア軍が攻勢を強めるウクライナ南部の貿易港オデーサ。WFP(国連世界食糧計画)は、この港から警鐘を鳴らしています。

 国連世界食糧計画・ビーズリー事務局長:「すぐに港を開いて貿易を再開しないと大惨事になります。世界の何百万人もの人が餓死することになります」

 小麦戦争による食料危機は、すでに世界中で起きています。

 エジプトでは、食卓に欠かせないパンの価格が2倍以上に高騰。

 エジプトの市民:「値段が上がってしまったから、買うのはいつもの半分です」

 エジプトの製粉所、マフムード・サーレムさん:「ロシアとウクライナの戦争が始まって、小麦の輸入は止まってしまいました」

 エジプトでは食料不足を賄うため、去年約600万トンの小麦を輸入。その8割をロシアとウクライナに依存していました。

 ブラジルやインドなど他の国からの輸入に切り替えましたが、小麦戦争の影響で、さらなる窮地に…。

 小麦の生産量、世界2位のインドが国内に安定供給するため、小麦の輸出を禁止する措置を取ったのです。

 その背景にはウクライナ侵攻による小麦価格の上昇が…。

 小麦の輸出大国でもあるウクライナで一体、何が起きているのでしょうか。

 小麦の輸出会社:「ロシア軍が小麦を盗んでロシアへ輸送しています」

 ロシア軍がウクライナから強奪した大量の小麦。運ばれたとされる場所は中東のシリアです。ロシア軍が強行する密輸の実態が見えてきました。

 ウクライナ最大の港湾都市オデーサ。貿易港として栄えてきた町は、ロシア軍の侵攻によって封鎖される事態に陥っています。

 国連世界食糧計画が食料危機に警鐘を鳴らしています。

 国連世界食糧計画・ビーズリー事務局長:「この港にある穀物は世界の4億人の食糧を支えています。しかし、港は戦争のために閉鎖されてしまいました。すぐに港を開いて貿易を再開しないと大惨事になります。世界の何百万人もの人が餓死することになります」
https://news.yahoo.co.jp/articles/48f026694ede13c05ba27f224114d6c89d45ac95