【広州=比奈田悠佑】中国のネット大手騰訊控股(テンセント)は5日、数学やバイオテクノロジーの基礎研究者らに対し、10年間で合計100億元(約2000億円)を拠出すると発表した。ネット企業への風当たりが強くなっているなか、学術分野の底上げへの貢献をアピールする。

中国共産党の指導を受ける中国科学技術協会と組み、基礎研究の支援プロジェクトを立ち上げた。国籍を問わず中国で活動している研究者に対して助成金を出す。助成分野の例として数学や素材、バイオテクノロジーや医学などの領域を挙げる。

助成金は研究者1人当たり年間最大500万元で、5年間継続する。2022年度はまず60人を選出するという。

テンセントは21年にも環境や食を巡る社会問題解決で500億元を投じる意向を示すなど、各方面への資金拠出を進めている。中国では近年、ネット大手が市場を独占して富を蓄えたとの批判が高まっている。ネット企業にとっては、社会貢献プロジェクトによる利益還元が避けて通れないものとなっている。

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