――そして、邪教徒の皆さんが気になっている今後についてもお聞きしたいと思います。第4期以降も狙っているとは思いますが、今後どうやっていこうと考えていますか?

栁瀬 それをお話しするうえで、現状の中堅以下のアニメがどれだけきついかを改めて確認したほうがいいと思います。
大きく分けると、きついことは6つ。

1. パッケージが売れない。
2. スポンサーが減少。
3. コロナでイベントをやっても人が来てくれない。
4. 最近中国の審査が厳しすぎて配信できない。
5. 円安がひどくて、海外でものを作っても利益が出ない。
6. アニメの制作の単価が急激に値上がりしている。

1に関しては内訳が2つあって、ひとつはお客様が買わない、買う必要がない。もうひとつが、レンタル店にも出回らない。
今まではレンタル店が円盤(Blu-ray、DVD)を何万枚とかまとめて買ってくれていたんですよ。これがなくなりました。

2は、かつてはパチンコ・パチスロが大スポンサーさんだったのですが最近はなかなか買っていただけなくて。
さらにアプリのゲーム会社さんはスポンサーになるのをやめて、自社でアニメを制作するようになってきましたね。

3はご存知だと思います。4は「邪神ちゃん」がどうなるかわからないですけど、
事実として現在は毎クール70作品ぐらいある中で10数本しか中国での審査に通らないんです。
そういう状態ですから、中国への配信でお金を稼げなくなりました。5もそのままですね。

――6はアニメの制作現場の待遇改善の結果でしょうか?

栁瀬 そうです。それ自体はいいことなんです。体感では2年で3割ぐらい制作費が上がりました。

――アニメの制作費が3割増えたからといって、売上がそのまま3割増えたわけではないですよね? むしろそっちは厳しくなっているわけで。

夏目 そうなんです。パッケージしかり、中国での配信しかり。

――そこにアンバランスが生じますよね。世間的に騒がれるような大作アニメは本当にひと握りですし。

栁瀬 皆さんもお気づきのように、現在、日本のアニメは超ハイクオリティな作品とそうじゃない作品とで大きく分かれています。
「そうじゃないほう」の中堅アニメは本当に厳しいです。

――今後、アニメ業界はどうなっていくと思いますか?

夏目 全体の作品数は確実に減ると思います。最盛期は平均すると1クールに70本くらいあったアニメが、今後は40本くらいになっていくでしょう。

栁瀬 なので、「邪神ちゃん」はクラウドファンディングやふるさと納税など全く新しいビジネスモデルを作ることに挑戦をしましたし、これからもやっていこうと思います。


【インタビュー】宣伝プロデューサーが語る「大ヒットアニメの陰で、苦境に陥る中堅アニメ」──
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