電車に乗っていると,向かい側の席に小学校低学年位の男の子とお母さんが座っていました。男の子は生き物が好きらしく,動物図鑑に見入ってました。
動物園か博物館にでも行くのだろうなと思って眺めていたら,男の子が突然図鑑から目を離して,「お母さん,鳥は爬虫類だよ」と言いました。

図鑑の中で鳥類と爬虫類とが分けられれているのが気になったのでしょう。お母さんはちょっと驚いた後,
困ったように「そうだったかしら?」と返し,パラパラと図鑑を見た後,「鳥は爬虫類じゃないんじゃないかしら」と答えました。
男の子は不満だったようで「鳥は爬虫類なの!」と大きな声を出して拗ねてしまいました。一連のやりとりを見ていてとても驚きました。

この男の子が言っていた事は,鳥類の進化・系統的には正しい事だったからです。
「写真で見る生物の系統と分類」や「藻類・原生生物の分類と解説」で紹介しているように,
近年,生物の分類体系は大きく変化しています。従来の分類体系では,
鳥類は脊椎動物門(Phylum Vertebrata),鳥綱(Class Aves),爬虫類は脊椎動物門,爬虫綱(Class Reptilia)として区別されてきましたが,
近年,鳥類と爬虫類は共に脊椎動物門の爬虫綱に含まれています。

Ruggiero et al. (2015) の分類体系によると,鳥綱は鳥亜綱(Subclass Aves)として綱から亜綱の階級に下げられ,爬虫綱の下に置かれています。
つまり,男の子の言う通り,「鳥は爬虫類」なのです。もちろん,図鑑や教科書,生物図説などでは,
鳥類とヘビ,トカゲ,ワニなどの爬虫類とは異なる仲間と紹介されています。お母さんの解答は至極当然の事でしょう。
https://tonysharks.com/Algae_Column/Etcetra/Bird/Bird.html