西尾は2002年に、弱冠20歳の小説家としてデビュー。処女作の『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』は新本格ミステリ界隈で生み出されたが、ポップな内容からライトノベルファンなども虜にした。

その後はよく知られている通り、『化物語』から始まる『物語シリーズ』がTVアニメ化され、一世を風靡するほどのメガヒットに。ほかにも『週刊少年ジャンプ』で原作を務めた漫画『めだかボックス』が人気連載になったり、『掟上今日子の備忘録』が新垣結衣主演のドラマになったりと、話題は尽きない。

アニメ・漫画界隈の小説家としてはこれ以上ない、モンスター級のヒットメーカーだったが、その勢いが続いたのは2010年代の後半まで。近年では過去作の続編こそ好調だが、新たなヒット作はほとんど生まれていない印象だ。

一体なぜ、西尾の存在感が薄れつつあるのだろうか。

オタク界隈の流行が変わった?
失速したとよく言われるのが、『忘却探偵シリーズ』以降の作品。2015年からは『美少年探偵団』を筆頭とした『美少年シリーズ』が始まったが、いささか盛り上がりに欠けていた。他の作品として、既存シリーズの続編やスピンオフなども手掛けているが、大ヒットにはつながっていない。

そうした状況について、別の角度から説明することもできるだろう。そもそも今のライトノベル界隈や小説のメディアミックスでは、異世界転生やなろう系が絶大な影響力を誇っている。そのため、西尾が得意とする作風が求められていない…という可能性だ。https://myjitsu.jp/enta/archives/109674