明治神宮外苑(東京)で2016年、現代アート展示イベント会場でジャングルジム風の木製作品が燃え、内部にいた男児(当時5歳)らが死傷した火災で、重過失致死傷罪に問われた日本工業大(埼玉)の元男子学生2人(当時18歳、19歳)の控訴審で、東京高裁は13日、2人を禁錮10月、執行猶予3年とした1審・東京地裁判決を破棄し、審理を東京簡裁に移送する判決を言い渡した。

 大善文男裁判長は「通常の過失が認められるにすぎない」とし、法定刑の上限を5年以下の懲役や禁錮などと定めている同罪ではなく、上限を罰金刑としている過失致死傷罪が成立するにとどまると判断。罰金事件などを担当する簡裁で改めて審理すべきだと述べた。

 判決によると、2人は16年11月6日午後、作品のライトアップのために白熱球が付いた投光器を点灯させたまま放置。作品の木くずが白熱球に接触して発火し、内部で遊んでいた男児が焼死したほか、助けようとした40歳代の父親が重いやけどを負った。

 昨年7月の1審判決は、2人が火災発生前に投光器の危険性を認識できたとし、「わずかな注意を払えば火災の発生を十分予見できたといえ、重大な過失があった」と判断した。

 一方、高裁は、2人は火災発生当日だけ展示の監視を担当しており、全体の責任者ではなかったことや、投光器の危険性について説明を受けたことがなかったことを指摘。「重過失を認定した点は不合理だ」と結論付けた。

男児の父親「到底納得できない」

 男児の父親は1審の破棄について、「到底納得できない」と胸中を明かした。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20220913-OYT1T50166/