第1回目となる海外ビジネスセミナーは「海外マーケットと海外企画について知る」をテーマに、2名の講師が登壇。
今回の講師は、2004年にアニメ情報サイト「アニメ!アニメ!」を設立、現在は独立しアニメーションに関する報道・執筆に従事するジャーナリストの数土直志氏、
『スター・ウォーズ ビジョンズ』『境界戦機』などアニメのSF設定や脚本の仕事を多く手掛けている文筆家/翻訳家であり、デジタルハリウッド大学及び京都精華大学非常勤講師の堺三保氏。

(中略)

後半は、文筆家/翻訳家の堺氏から「海外展開のための企画の煮詰め方」をテーマに、
海外、特にアメリカ向けの企画内容と企画プレゼン手法(ピッチ)について語られた。

はじめに日本と欧米の企画内容の違いについて言及。
欧米で最も重視されるのは「強烈なキャラクター」と「起伏のあるストーリー」が掛け合わさること。
「明確な目的や悩みを動機にキャラクターが成長・変化していく」というパターンが好まれるのだそう。
日本アニメでよく見る完全無欠な主人公や日常系といったストレスフリーな作品のニーズは低く、ストーリーとキャラクターの心理的葛藤が帯同し視聴者が感情移入できる作品のニーズが高いのだ。
この要素が含まれていれば、過激な描写やバッドエンドであっても構わないのだそう。

その前提のもと、日本発信の作品に求められる要素は「日本的な要素と世界共通の要素のバランス」と堺氏。
日本的な外見(デザイン)は求められているが、内面(設定)的に求められているのは前述した通り「明確な目的や悩みを動機にキャラクターが成長・変化していくドラマ」だ。
世界中の誰が見ても「そうだよね」と思える最大公約数を狙いにいくことがポイントとなる。
中でも今世界から求められている要素は2つ。「多様性」と「平等性」だ。
欧米作品では黒人やアジア人が主人公の作品が増え、視聴率や興行収入も高い。
堺氏は「これまで作品を熱狂的に見てこなかった視聴者層が獲得できたことで、売り上げにも繋がっている」と話す。

(中略)

最後に、日本から海外へ発信するアニメの企画に対して「アジア人が世界に向けて世界共通のコンテンツを出している意識を持ってもらいたい」と堺氏。
日本人は日本人にしか分からない内容や描写を含みがちなため、そこを見直すことの大切さを説いた。
また、配信における日本アニメのライバルコンテンツについて、堺氏は「大人向けドラマ」を挙げた。
特に韓国の実写ドラマは世界中から高い人気を博している。
「配信により世界で売れるコンテンツやユーザー層が変わっているからこそ、売り方も変えていかないと難しい」と日本アニメ業界へ課題を呈し、本セミナーは終了となった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/d45ed70b5be39863364cb042c479c00c6c7e8e38